長野の金メダリストが挑む「極上の一枚」——船木和喜のアップルパイが時代を超えて人々を魅了し続ける理由
船木 和 喜 アップル パイ――この一見すると意表をつく組み合わせが、今や全国のスイーツファンとスポーツ関係者の間で大きな話題を呼び続けている。1998年長野冬季オリンピックで日本中を歓喜の渦に巻き込んだスキージャンプの金メダリスト、船木和喜氏。美しい飛行姿勢で「世界一のジャンプ」と称えられた伝説のアスリートが手がけるアップルパイは、単なるタレントショップの企画商品ではない。原料への徹底的なこだわりから独自の販売スタイル、そしてその裏に秘められた熱い理念まで、他とは一線を画す本格派の逸品だ。
全国各地の百貨店で開催される北海道物産展や催事場において、行列の先頭で接客にあたるのは誰であろう船木氏本人である。店頭で自ら声を張り、一人ひとりの客に丁寧に手渡す姿は、かつて白銀の大空を舞ったオリンピアンそのものだ。ファンやグルメ愛好家の間で絶大な支持を集める船木 和 喜 アップル パイは、一口食べれば芳醇なバターの香りと甘酸っぱいリンゴの旨味が広がり、リピーターが後を絶たない。2026年現在もその人気は衰えるどころか、新たな広がりを見せている。
長野の歓喜から四半世紀――伝説のジャンプと洋菓子への転身
1998年、白馬の空に描かれた放物線。雪しぶきの中で両手を突き上げた船木和喜の姿は、今も多くの日本人の記憶に深く刻まれている。個人ラージヒルと団体でダブル金メダルを獲得し、ジャンプ界の頂点に立った男が、なぜパイ生地と格闘する道を選んだのか。
きっかけは唐突だったわけではない。現役選手としての挑戦を続けながら、後進の育成資金をどう確保するか。既存のスポンサー頼みではなく、持続可能な自立型の支援モデルを模索する中でたどり着いたのが、自身が創業した会社「ファイブワン」による食品事業だった。そこには、金メダリストとしてのプライドを良い意味で捨て去り、地道な商いに打ち込む職人の顔があった。
「催事場で自ら立つ」泥臭い販売スタイルの真意
「いらっしゃいませ!」
全国のデパ地下や催事場。パイが焼き上がる香ばしい匂いが漂うブースの最前線に、エプロン姿の船木氏が立っている。サインに応じ、記念撮影の要望に笑顔で答えながら、手際よく箱を包む。一見すると驚くべき光景だ。
有名人のネームバリューを借りたライセンスビジネスなら、名前だけ貸してロイヤリティを受け取る方法もあったはずだ。だが船木氏はそれを良しとしなかった。現場に立ち、客の生の声を聞き、自らの手で商品を届ける。この泥臭くも真摯な姿勢こそが、単なる一過性の話題性にとどまらず、長年にわたって愛される最大の要因となっている。
サクサク食感と濃厚なコク——素材が生み出す黄金バランス
看板商品である「王様のアップルパイ」の魅力を語る上で、妥協のない素材選びは外せない。主役となるリンゴには、甘みと酸味のバランスが絶妙な厳選された国産品を使用。加熱しても崩れにくく、シャキッとした食感が残るよう絶妙な火加減でコンポートされている。
さらに特筆すべきは、幾重にも重なるパイ生地だ。北海道産の風味豊かなバターを贅沢に使用し、仕込みから焼き上げまで徹底した温度管理のもとで作られる。焼き立てを口に運べば、パリッとはじける軽やかな音とともに、コクのあるバターの香気と果汁が溢れ出す。冷めてもベタつかず、オーブントースターで少し温め直せば、まるで出来立ての風味が蘇るのも特徴だ。
売上がジュニア選手の育成へ——持続可能なスポーツ支援の形
このアップルパイには、もう一つの重要な側面がある。それは売上の一部が、スキーのジュニア選手育成や遠征費用、用具購入の支援に充てられている点だ。日本のマイナースポーツ選手が抱える恒常的な資金難。その現実に直面してきた船木氏だからこそ生み出せたビジネスモデルと言える。
「買って食べた人が幸せになり、その収益が未来のメダリストを育てる」。消費がそのまま社会貢献やスポーツ振興につながるこの循環システムは、共感消費が定着した現代において、さらに強い支持を集めている。一パイの満足感が、未来のウィンタースポーツの糧になっているのだ。
口コミとSNSが加速させた「デパ地下旋風」
催事場を訪れた客がSNSに投稿する「船木さんが自ら売っていた」「想像以上に美味しくて驚いた」というリアルな体験談。これが爆発的な口コミを生み、出店するたびに長蛇の列ができる現象が定着した。
リピーターの中には、現役時代のアスリート船木氏を知らない若い世代も増えている。「金メダリストの店」としてではなく、純粋に「最高に美味しいアップルパイの店」としてブランドが確立された証拠だ。ギフトとしての需要も高く、手土産や季節の贈り物としても選ばれ続けている。
2026年、挑戦は次なるステージへ
長野五輪から時を経て2026年。ウインタースポーツを取り巻く環境は目まぐるしく変化しているが、船木氏の情熱は衰えることを知らない。アップルパイのラインナップ拡充や地域限定フレーバーの開発、さらには次世代のウィンタースポーツ拠点の整備構想など、新たな挑戦は続いている。
空を飛ぶスキージャンパーから、人々の食卓に笑顔を届ける実業家へ。軌道は変わっても、頂点を目指すストイックな姿勢と周囲への感謝の念は変わらない。黄金の放物線を描いた男が焼き上げるパイは、これからも多くの人々の心とお腹を温かく満たし続けていくはずだ。 (出典: 船木 和 喜 アップル パイ(Yahoo!ニュース))