北朝鮮の正式名称とは?「朝鮮民主主義人民共和国」の由来と呼称の真相
ニュースや新聞で日常的に目にする「北朝鮮」という国名。テレビの報道番組やWebメディアでも定着していますが、その公式な国号を即座に正確に答えられる人は多くありません。
北朝鮮の公式な国号は朝鮮民主主義人民共和国です。英語ではDemocratic People's Republic of Korea(略称:DPRK)と表記されます。私たちが普段使っている「北朝鮮」という呼び方は、実は地理的な便宜に基づいた通称に過ぎません。なぜ日本では正式国名ではなく「北朝鮮」という呼称が使われ続けているのか、そして国名に込められた意味や南の韓国との違いは何なのか、その深層を解き明かします。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:北朝鮮の正式名称は「朝鮮民主主義人民共和国」(英語:DPRK)であり、憲法上の首都は平壌(ピョンヤン)に定められている。
- 要点2:日本政府が「北朝鮮」と呼ぶ背景には、1965年の日韓基本条約による大韓民国の国家承認と、北朝鮮に対する国家未承認という法的外交事情がある。
- 要点3:南北双方が「朝鮮」「韓」という異なる歴史的正統性を掲げて対立してきた経緯があり、国際連合には1991年に双方が正式名称で同時加盟を果たしている。
【正式名称と読み方】「朝鮮民主主義人民共和国」に込められた国名の意味と由来
北朝鮮の公式な国号である朝鮮民主主義人民共和国(ちょうせんみんしゅしゅぎじんみんきょうわこく)は、1948年9月9日の建国時に制定されました。この長い名称には、国家の成り立ちと当時の政治イデオロギーが色濃く反映されています。
国名の由来を構成要素ごとに分解すると、それぞれの語句が持つ政治的意図が見えてきます。
まず「朝鮮」は、紀元前の古朝鮮や1392年から続いた李氏朝鮮に由来する、朝鮮半島全体の伝統的な地域・民族名です。「民主主義」と「人民」は、旧ソ連をはじめとする東側社会主義諸国が多用した政治概念であり、資本主義国家の議会制民主主義と区別された「労働者階級(プロレタリアート)が主権を握る体制」を指します。「共和国」は君主を置かない国家形態を意味しています。
憲法上、北朝鮮の首都は平壌(ピョンヤン)に置かれています。建国当初はソウルを形式上の首都とし、平壌を臨時の首都と位置づけていましたが、1972年の社会主義憲法制定に伴い、平壌が正式な首都として明記されました。
【英語表記と略称】「DPRK」の意味とは?国際連合での正式登録名称
国際政治の場や英語圏の公式文書において、北朝鮮の英語名はDemocratic People's Republic of Koreaと記述されます。外交や国際会議の場では、その頭文字をとったDPRKという略称が一般的に用いられます。
欧米の一般メディア(BBCやCNNなど)では、日常のニュース報道においてわかりやすさを優先し「North Korea」という通称が使われるケースが主流です。しかし、国連をはじめとする公式な外交プロトコルでは、必ず正式名称であるDPRKが使用されます。
国際連合における扱いも同様です。南北双方は1991年9月17日の第46回国連総会において、国連へ同時加盟を果たしました。この際、国連本部へ登録された北朝鮮の国連正式名称は「Democratic People's Republic of Korea」であり、対等な加盟国として議席が与えられています。オリンピックなどの国際スポーツ大会では、国際オリンピック委員会(IOC)コードとして「PRK」の略称が公式表示されます。
【なぜ北朝鮮と呼ぶのか】日本政府の呼称理由と外交上の法的位置づけ
日本国内で「朝鮮民主主義人民共和国」ではなく「北朝鮮」という呼び方が一貫して用いられている理由は、単なる略称ではなく日本政府の外交基本方針に直結しています。
日本政府は1965年に締結された日韓基本条約に基づき、南側の大韓民国を「朝鮮半島における唯一の合法的な政府」として承認しました。現在に至るまで日本政府は北朝鮮を主権国家として承認(国家承認)していません。
国家として承認していない以上、相手国が自称する正式国号を公的な主権国家名として全面的に採用することは外交上の整合性を欠くことになります。そのため、日本政府は朝鮮半島の北部地域を実効支配する勢力・地域を指す地理的呼称として「北朝鮮」という名称を用いています。
外務省の公式文書や条約関連資料では、厳密な文脈において「北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)」と併記される事例はあるものの、行政および報道機関の実務においては「北朝鮮」という呼称が統一基準として定着しています。
【南北の決定的違い】「大韓民国」と「朝鮮民主主義人民共和国」が掲げる正統性
朝鮮半島の分断国家である両国は、互いに異なる国名を採用することで自らの歴史的正統性を主張してきました。南側の韓国の正式名称は大韓民国(Republic of Korea / ROK)であり、北側は朝鮮民主主義人民共和国です。
この国名の違いは、歴史的なルーツの選択に端を発しています。南側の「韓」は古代の三韓(馬韓・辰韓・弁韓)や、1897年に成立した「大韓帝国」、そして1919年に上海で結成された「大韓民国臨時政府」の正統性を受け継いでいます。一方、北側の「朝鮮」は、前述の通り数千年の歴史を持つ民族古来の名称である「朝鮮」をそのまま継承する立場をとりました。
呼称を巡る対立は半島内でも顕著です。韓国国内では北朝鮮のことを北韓(プッカン)と呼び、自国(韓国)の北部に位置する不法占領地域とみなしてきました。対照的に北朝鮮側は長年、韓国のことを南朝鮮(ナムチョソン)と呼び、米国の傀儡政権が存在する南半分と位置づけてきました。
半島の統一を目指す建前のもとで正統性を競い合ってきた両国ですが、近年では双方が互いを「別個の敵対的国家」として規定し直す動きも見られ、分断の構図は新たな力学へと移行しています。
【国際社会の視点】地域ごとに異なる呼び方と外交プロトコル
世界各国における北朝鮮の呼び方は、その国と北朝鮮との外交関係や地政学的立ち位置によって明確に分かれています。
中国においては、伝統的な友好関係から「朝鲜(チャオシエン)」または「朝鲜民主主义人民共和国」と公式に呼称されます。一方、韓国を指す際は「韩国(ハングオ)」と呼び、対象によって漢字表記を厳格に使い分けています。
ロシアも同様に、公式には「Корейская Народно-Демократическая Республика(KNDR / 朝鮮民主主義人民共和国)」を用いつつ、一般報道では「Северная Корея(北朝鮮)」と呼ぶのが一般的です。
外交の実務において、正式国名を使うか通称を使うかは、相手国の国家主権をどのように評価しているかを示す政治的シグナルとなります。名称の選択そのものが高度な外交的メッセージを帯びている点が、この地域を巡る呼称問題の複雑さを示しています。
【北 朝鮮 正式 名称】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:英語圏で「North Korea」と「DPRK」はどう使い分けられていますか?
A1:日常的な会話や新聞・テレビの一般ニュースでは直感的に理解しやすい「North Korea」が広く使われます。一方で、国連の公的文書、政府機関の公式声明、学術論文、多国間条約などでは、正式名称である「DPRK(Democratic People's Republic of Korea)」が厳密に用いられます。
Q2:日本国内で「朝鮮民主主義人民共和国」という名称が使われる場面はありますか?
A2:在日本朝鮮人総聯合会(朝鮮総連)をはじめとする関連組織の発信文書、特定の学術研究、法的手続き上の原典引用などで用いられます。ただし、日本政府の行政用語や主要マスメディアの報道ガイドラインでは、外交的経緯と簡潔性を考慮して「北朝鮮」で統一されています。
Q3:韓国ではなぜ北朝鮮を「北韓(プッカン)」と呼ぶのですか?
A3:韓国憲法第3条で「大韓民国の領土は朝鮮半島とその付属島嶼とする」と規定されているためです。韓国側は半島全域を自国領土と捉えており、「大韓民国の北部地域」という意味を込めて「北韓」と呼称しています。
まとめ:国名から読み解く朝鮮半島の歴史と国際秩序
北朝鮮の正式名称である「朝鮮民主主義人民共和国」という響きには、第2次世界大戦後の東西冷戦、民族分断の悲劇、そして現在まで続く体制維持の思想が凝縮されています。
日本において「北朝鮮」という略称が定着している背景には、単なる言葉の短縮ではなく、1965年の日韓基本条約から連なる戦後日本の外交方針と国家未承認という法的位置づけが存在します。普段何気なく接しているニュースの国名一つにも、複雑な国際政治の歩みが刻まれています。 (出典: 北 朝鮮 正式 名称(Yahoo!ニュース))